離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


「夫婦なんだから、『なにか?』はないんじゃない?」
「えっ、あ、はい」


千景は自嘲気味に鼻を鳴らした。
それでは仕事絡みの話ではないのか。


「急で申し訳ないけど、百々花のご両親に今からお会いできないかと思って」


まさかそうくるとは思いもせず呆気にとられていると、千景が首を傾げて百々花を見る。
それで休みなのにスーツを着ているのかと、妙に納得した。


「無理?」
「いえっ、今聞いてみますが、たぶん大丈夫だと思います」


今日は日曜日。外出していたとしても、七時を過ぎればふたりとも帰宅しているだろう。真奈加は、自身の息子と義理の娘にしっかりと手作りの夕食を食べさせたいという素晴らしい心がけの持ち主なのだ。四人揃わない状態での外食はめったにない。

平日は平日で、父の利一は真奈加に早く会いたくて毎日猛ダッシュで帰宅。『日中に会えなくなるのなら、籍を入れずにこっそり付き合っていればよかった』というのは、利一がときどきこぼす愚痴だ。
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