離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「そのうえ、お義父様やお義母様のご承諾もいただかないうちに百々花さんとの結婚を決め、大変失礼いたしました」
なんだかとても重苦しい雰囲気だ。百々花まで息が詰まる。
「そんな堅苦しい挨拶はいいんですよ」
ほんわかとした雰囲気を連れて、真奈加がリビングに入ってきた。コーヒーをのせたトレーからいい香りが漂う。
「どうぞ座ってくださいな」
そう勧められて顔を上げた千景を見て、真奈加が「あらっ?」と声をあげる。
「もしかして千景くん?」
紹介するより早く、真奈加が千景の名前を呼んだ。
えっ、ふたりは知り合いなの……?
百々花と利一が呆気にとられる中、千景と真奈加がなにかを察知したかのように顔を見合わせる。