離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「お、おいっ、やめろ……! くっ、くすぐったいじゃないか!」
見悶える利一に真奈加は容赦がない。
半ばじゃれ合っているカップルを見ているような状況になってきたそのとき、「もうわかったからっ」と息も切れ切れに利一は降参した。真奈加もそこでようやく利一から手を離す。
「千景くんといったね」
乱れた服を直した利一が、じっと千景を見据える。
「申し遅れましたが、流川千景です」
再会の話に花が咲き、自己紹介が今頃だ。
「百々花を幸せにする自信は?」
「もちろんあります」
嘘も方便。ここで〝じつは離婚前提です〟と言えるはずもない。
でも、お互いの幸せのための結婚であるのも間違いはない。
「もしも泣かせるようなことがあったら承知しないぞ。私にとっては大事なひとり娘なんだ」