離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
昌也の眉がピクリと動いた。その目がサーチライトのように千景に向けられ、鋭く細められる。なにやら不穏な空気だ。
「ご挨拶して、昌也」
真奈加に促されるものの、険しい表情を崩す気配すらない。
「昌也くん、初めまして。流川千景です。百々花さんと――」
「俺はそんなの認めないから」
「えっ? 昌也くん?」
憮然とする昌也に声をかけるが、百々花を見もせず千景を睨むようにするばかり。
認めないって、どういう意味?
わからずに、百々花はまばたきを激しくさせた。
「昌也ったら、なにを言ってるの」
「とにかく百々花の結婚なんか認めない」
そう言ったかと思えば、昌也がリビングから出ていく。ドンドンドンと階段を駆け上がる足音のあとに、バーンと勢いよくドアが閉まる音が聞こえた。