離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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一時間ほどの挨拶を終え、千景が車に乗り込む。
真奈加から夕食を一緒にと誘われたが、昌也が殻に閉じこもったような状態のため刺激しないほうがいいと千景が遠慮した。
「明日の昼、仕事を少し抜けられるか?」
運転席のパワーウィンドウを下げ、千景が顔を覗かせる。
「大丈夫ですけど……?」
なにがあるのかと百々花は首を傾げた。
「婚姻届を一緒に提出しにいこう」
「あっ、婚姻届」
書き上げて準備万端になっている、ふたりの〝契約書〟だ。
「会社を出るときに連絡を入れるから」
「はい、わかりました」
千景は手をひらりと振り、ほんのりと笑みを浮かべて車を発進させた。