離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
目指すは、ありふれた普通の夫婦
翌日、千景がアリアシェリーに百々花を迎えにきたのは、午後一時を少し回ったころだった。
今から向かうというメッセージをもらい、準備万端で店の前で待つうちから、緊迫感がじわりじわりと百々花を包み込んでいた。それは千景の車に乗ると、さらに存在をアピールしてきて、呼吸が浅くなってくる。
これでは、ちょっと危うい人みたいだ。
「具合でも悪い?」
千景がそう聞くくらいなのだから、相当怪しいのだろう。
「いえ、緊張しちゃって」
胸に手をあて宥めようと試みる。
これからいよいよ入籍するのかと思い、膝まで震えてきた。
「大丈夫だ。別世界にいくわけじゃない」
千景はクスクス笑うが、別世界も同然のような相手である。
「昨夜は忙しいのにありがとうございました」
「まさか、真奈加さんが百々花の義理の母親になっていたなんてね。ものすごく驚いたよ」