離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「昌也くん、おはよう。今日は一限から講義があるんでしょう? 起きないと遅刻しちゃうよー」
布団を頭から被っている昌也の肩口をちょんちょんと突く。すると今度はうめき声ともつかない息が漏れた。
中学からテニスを始めた昌也は、大学でスカッシュに転向してインカレに出場するほどの腕前らしい。
スポーツ全般が苦手な百々花とは大違いだ。
「昌也くん、起きないと――ひゃっ」
肩を揺すった瞬間、布団が勢いよくめくれ上がり、百々花の頭にバサッとかかる。
「百々花、うるさい」
しわがれた声で抗議された。
「だって遅刻しちゃうよ? それと、百々花じゃなく〝アネキ〟とか〝おねえちゃん〟って呼んでくれるとうれしいんだけどな」
呼び捨てをされたら、弟ができた喜びも半減だ。
ところがそんな希望も空しく、昌也はむくっと起き上がり不服そうな顔で百々花を見た。
「百々花は百々花だろ。本当の姉弟でもねーし」