離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
キスから始まる溺愛連鎖
スクランブルエッグのケチャップ添えとベーコン、生ハムとチーズをはさんだロールパン。スープにはトマトベースのものを用意し、ダイニングテーブルに並べる。
朝食にどんなものを食べたいか聞きそびれていた百々花は、このマンションで目覚めた朝のメニューを思い出し、洋食を用意したのだ。
引っ越し初日の昨日は食材にまで気が回らず、あり合わせの材料で作ったけれど、今日は買い物をして帰ろう。
そんなことを考えながらも、脳内を占めるのは昨夜のこと。突然のキスは百々花の酔いを一気に覚まし、ついでに眠気まで吹き飛ばした。
おかげで眠れたのは明け方のほんの一時間程度。それもうつらうつらとしたもので、寝た感覚はないといってもいい。それなのにまったく眠くないから不思議だ。
夫婦らしくするためにキスをしただけ。
そう何度も自分に言い聞かせるのに、唇の感触は何度でも蘇り、意味深な千景の視線まで頭に何度もちらつく。
キスをするのが夫婦らしいなら、その先は……?
恥ずかしながらそこまで妄想して、頭がパンクしそうになった。
彼が起きてきたら、どんな顔をすればいい? やだな、夫婦なんだもん、キスをしたくらいでぎこちなくなったらおかしいでしょ。