離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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真っ白な壁にゴールドで描かれた『シュプリームウエディング』のプレートまで、あと数メートル。
百々花は足を止め、大きく息を吸い込んだ。そこで息を止め、身体を硬直させる。
バッグを持つ手に力を込めていると、受付にいる女性が百々花に気づき不審そうに目を細めた。
せっかくここまで来たのだ。このまま立ち止まっているわけにはいかない。
『当たって砕けろ!だよ』
それは、百々花が愛華にいつも言われる言葉だ。
どちらかといえば石橋を叩いて渡るタイプの百々花は、いつもそうしてはっぱをかけられてきた。
当たって本当に砕けたら元も子もないが、決死の覚悟で臨めば成功する可能性も高くなる。やるだけやってみろと。
よし。行こう。
心の中で静かなる闘志を燃やし、重い足を踏みだした。
「フラワーショップ『アリアシェリー』の神谷と申します」
言いながら名刺を受付のカウンター越しに差し出す。
美しい女性は立ち上がり、軽く頭を下げた。