離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


テーブルの上に手を組み、千景が隣の百々花を見る。自宅で見せていたやわらかな表情ではなく、社長室で百々花を抱きしめたときの優しい雰囲気でもない。仕事以外のいっさいを排除した、隙のない眼差しに怯みそうになった。

妻だからという妥協は許されない。弱気な心を封印し、百々花も目に力を込める。


「普段、装花はどちらがやられているんですか?」
「花ビジョンさんです」


これには田原が答えた。

花ビジョンといったら、都内のフラワーショップでは大手。ブライダル関係だけでなく、多方面でよく名前を聞く会社だ。


「今回のフェアの出来次第では、アリアシェリーさんとの契約も視野に入れようと思っています」


今回の仕事がうまくいけば、シュプリームウエディングからブライダルフラワーの受注につながる。業界で飛躍的にシェアを伸ばしているシュプリームウエディングであれば、それはとても大きな仕事だ。


「承知いたしました。精一杯やらせていただきます」
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