離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
手を叩いて喜びたいのをぐっとこらえ、静かに返す。そもそも、まだうまくいってもいないのだから、喜ぶのはまだ早いけれど。
百々花は、準備していた資料をメンバーに配った。そこには百々花がこれまでに手掛けた、花やグリーンを使ったディスプレイが写真つきで記載されている。
ホテルやマンションのエントランス、オフィスフロア、インテリアのショールームなど、自分なりに自信のあるものだ。
「すごく素敵じゃないですか」
「とてもおしゃれ」
好意的な意見を聞き、気持ちが軽くなる。
「ありがとうございます」
千景を横目で見ると、真剣な目で資料をひとつひとつ見ていた。
「……いかがでしょうか」
「神谷さんのセンスがいいのは、よく知ってる」
資料をテーブルに置いた千景が、百々花に顔だけを向ける。ホッとしたのも束の間、なにか鋭い指摘をされるのではないかと身をすくませた。息を飲んで、その先を待つ。