離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「……それで私にどうしろと」
「そんなの決まっているじゃない。離婚してって言いにきたの」
「はい?」
「だーかーら、千景さんと離婚して。私、〝バツ〟があっても気にしないから。ずっと千景さんと結婚するって思ってきたんだもの」


まさか離婚を迫られるとは思いもしなかった。百々花の目が点になる。


「だいたい、私から逃れようと思って結婚したんでしょう? 愛なんてないんだろうから」


そこまでお見通しだとは。
百々花が息を飲むのを見て、香織が鼻先で嘲る。ほらね?という目だった。


「千景さんも、本当は私を好きなの。ちょっと意地悪がしたいだけなのよ。それにあなたは付き合わされているだけ」


抑揚をつけて香織が言う。言葉には憐れみがにじんでいた。
百々花はなんの反論もできない。知り合ってから間もない百々花には、千景の本心はわからないからだ。
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