離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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香織と別れ自宅に帰ってきた百々花は、自室で一心にテーブルに向かった。
今日の打ち合わせでシュプリームウエディングから出されたイメージは、〝夏、華やか、ナチュラル〟の三点。エントランスやウェイティングスペース、入り口までのアプローチはもちろん、会場全体をそういった印象で造り上げてほしいという。
式場のフォトショットを参考に、いつものように装飾イメージのラフ画を描いていく。
吹き抜けの解放スペースを生かしつつ、奥行きももたせる。アプローチ全体の統一感には気をつけたい。
頭の中に次から次へとイメージが湧いてくる。
香織のことを考えずに済むのはありがたかった。
そうして気づいたときには九時前。三時間近くも没頭していたらしい。
凝り固まった首を回していると、玄関のドアが開く音がした。
――あ! ご飯の準備!
大切なことを忘れていた。夕食の準備をし損ねていたのだ。しかも、食材を帰りに買ってくるのすら忘れたという抜けっぷり。
慌てて部屋を出ていき、いの一番に謝る。
「ごめんなさい!」
千景は鳩が豆鉄砲を食ったような顔だった。