離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「ご飯、作っていないんです! 買い物にも行きそびれて……!」
「なんだ、そんなこと。気にしなくて大丈夫だ」
「でも……!」
結婚早々、夕食を作り忘れるなんて大失態もいいところ。遅くまで仕事をして帰ってきたのに、この時間にまた出かけるのは酷だろう。
「あり合わせでよかったら、俺が作るよ」
「千景さんが!? 料理するんですか!?」
「そんなに驚かなくてもいいだろう? 作るといっても、バカのひとつ覚え同然の料理だ」
不満そうに言いながらも、どこか楽しげだ。
「でも、買い物もしてないから材料がないんです」
あるのはトマトと生ハム、玉子にキャベツくらい。今朝のメニューもそれが材料だった。
「心配するな。大丈夫だ」
なぜか千景は自信満々にジャケットを脱いでネクタイを外し、ワイシャツの袖をまくった。
炊飯ジャーで早炊きモードを選択。冷蔵庫から取り出した材料を刻んでいく。