離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


◇◇◇◇◇

片づけを終え、お風呂にも入り、なにか飲み物でもと思い冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。
ウエディングフェアのラフ画は未完成。これからもう少し描こうと考えていた。


「俺にも少しもらえる?」


冷蔵庫の扉を閉めたところで千景が現れる。お風呂から出たばかりの彼から、百々花はとっさに目を逸らした。
いつもきっちりと整えられている髪はまだ濡れ、無造作な感じがやけにセクシーだったのだ。パジャマこそ着ているけれど、スーツとのギャップがありすぎて直視できない。


「は、はい……」


ぎこちない動きで食器棚からグラスを取り、そこに水を注ぐ。彼に手渡す手が震えて、水面がわずかに波打っていた。


「ありがとう」


喉仏を上下させて、千景が一気に飲み干す。その様がどこか官能的に思えて、心臓がやけに騒いだ。
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