離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「……えっと、では、おやすみなさい」
胸のざわめきを抑えるようにペットボトルを抱え、千景の脇をすり抜ける。
「百々花、待って」
呼び止められて、つい肩がビクッと跳ねた。過剰反応しすぎだ。
振り返った瞬間、唇が重なる。前回はほんの一瞬触れただけだったが、今回はゆっくりと優しく食むようなキスだった。
「忘れ物」
そう言って千景が微笑む。指先で髪をすくったかと思えば、頬をさらりと撫でた。
「おやすみ」
千景に挨拶をされても、僅かに首を縦に振るしかできなかった。