離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
交差する気持ち
夏空を閉じ込めたような青いソーダ水が、グラスの中でたくさんの気泡を作る。ストローでかき混ぜると、カランと涼しげな音が響いた。
冷房の効いた午後一時過ぎのカフェは、ランチと涼を求める客で満員御礼。百々花は仕事の手が空くのを見計らい、たまたま近くで取材のあった愛華とアリアシェリーとはす向かいにあるカフェへやって来た。
つい先日、香織と来た店でもある。
揃って日替わりのチーズインハンバーグを平らげ、ドリンクで束の間の休息だ。
「それでどう? 偽りの新婚生活は」
愛華が投げる質問は、いつもど真ん中のストレート。直球勝負だ。
〝偽り〟の言葉に胸がチクッと痛むのはなぜだろう。
「どうって……普通だよ」
そう言う以外にない。
「普通?」
「そう。普通」
一緒に暮らし始めて五日。百々花が望んだように、千景はごく一般的な夫婦のように接してくれている。