離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「おお、香織さんじゃないか」
弘和まで途端に笑顔になる。先ほどまでの険しい表情が嘘のようだ。
「おじさま、こんにちは」
きらきらと顔を輝かせ、弘和のもとに真っ先に向かう。その隣にちょこんと座り、百々花たちを見た。
「もしかして、別れますっていう報告?」
「どうしてそうなるんだ。そんなわけがないだろう」
首を左右に交互に傾け、能天気に尋ねる香織に千景が鋭く言い返す。
「だって、この前そっちの人とお話させてもらったんだもの。私と千景さんの間には入り込む余地はありませんよーって」
千景が百々花をパッと見た。香織が会いにきたと報告していなかったからだ。
「だから別れますって、おじさまに言いにきたのかと思ったわ」
「別れないよ」