離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

◇◇◇◇◇

気づけば百々花はふたりのマンションに戻っていた。

千景の実家に香織が来てからは、頭がぼんやりとして春霞の中にいたよう。どうやって切り上げ、ここまで帰ってきたのかもあやふやだ。
千景となにか話した記憶はあるが、内容はぼやけている。


「百々花、少し飲まないか」


バッグを置いてソファに座っていた百々花に、千景がキッチンから声をかける。
そちらを見れば、千景はワインセラーからボトルワインを一本取り出した。

どことなく気持ちが沈んだときは、アルコールで誤魔化すのも手かもしれない。まだ日の光は健在。夜には少し早いが、このままでは眠れそうにない。


「はい。いただきます」


笑みを浮かべたつもりが、なんとなく頬が引き攣れた。

千景が用意してくれたのは、メタリックピンクのボトルが美しいロゼワイン。グラスに注ぐと、クリアな桜色をしていた。
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