離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「目、覚めた?」
変わらない優しい声で千景が問いかける。
「水でも飲むか?」
次の質問には、小さく首を横に振った。
どうしてだろう。人恋しくてたまらない。
なぜこんなにも寂しさを覚えるのか。このままひとりになりたくない。
「……夫婦なら」
なんとか発した百々花の声がかすれる。
「抱いてください」
言った瞬間、千景は目を見開いた。
経験もないくせに大胆すぎる。なにを血迷っているの?と、もうひとりの自分が狼狽する。それをも押さえつけ、さらに言葉を続けた。
「普通の夫婦みたいにしてください」
お酒の力を借りれば、なんでもできる気がした。