離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
そうじゃない。逃げるつもりもなければ、逃げたくもない。
千景を感じたいから、千景を独占したいから、お酒のせいにして抱いてとせがんだのだ。
離婚前提でもいい、勘違いでもいい、今はとにかく彼を自分のものだと思いたかった。
握られていた手を離し、千景の背中に腕を巻きつける。離れないようにと願って、強く抱きしめた。
「百々花」
千景の甘い声が脳髄を痺れさせる。そこに愛はないのに、あるように錯覚するのはアルコールの作用なのか。それとも千景の演技力なのか。
でも、今はどちらでもいい。とにかく千景に抱きしめられ、彼を抱きしめたかった。
唇を割って挿入した千景の舌が、百々花の吐息を切れ切れにさせる。もう余計なことはなにも考えられない。
ただ千景の熱を感じ、それ以上に自分の熱に浮かされているようだった。