離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
遠くから見ているから余計に想いは募るもの。実際に話せば、そんな邪心などすぐに消えるだろう。
ところがそんな千景の予想に反して、彼女にさらに惹かれていく。靴を届けた救世主として知り合いになったのをいいことに、百々花に急接近を試みた。
ただ、ウエディングフェアの仕事を持ちかけたのは、彼女のセンスを見込んでいたからこそ。仕事に私的な感情を持ち込むほど危険なものはない。あくまでも仕事は仕事である。
そんな百々花が、家を出るために結婚相手を探していると知ったとき、ある方程式が頭の中にふっと浮かんだ。
千景は勝手に進められている縁談を阻止するため。そして百々花は家を出るため。それらの手段に結婚を使おうと提案したのだ。
しかし、安易に百々花を手に入れられた代わりに、契約婚という冠が付いてしまった。百々花の気持ちが自分に向いていない以上、下手に手を出すわけにはいかない。うっかり想いが伝われば、百々花を困らせるだけ。
千景は、彼女をそばに置いておくために気持ちを押し殺し、平然と夫を演じようと決意した。
普通の夫婦みたいに生活したい。
そんな百々花の言葉を盾にしてキスしたまではいいが、理性を奮い立たせてストップ。それ以上は、さすがに躊躇われた。
ところが昨夜。百々花から、抱いてほしいと信じられない言葉が飛び出した。