離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「いきなりごめん」


離れた千景が、百々花の唇を親指でそっと拭う。
声を出せず、百々花は首を横に振った。


「百々花があんまり生き生きした顔をしてたから、かわいくて我慢できなかった」


思わぬ言葉が胸を突く。鼓動の高鳴りは収まるどころか、激しくなるいっぽう。
千景からかわいいとの言葉をもらうのも、千景でも我慢できないような状況があるのも、どちらも意外性がありすぎる。


「仕事に戻ろう」


千景に肩を抱かれて控え室のドアを開ける。そこから一歩出た途端、千景から甘い雰囲気のいっさいが消えた。
< 202 / 301 >

この作品をシェア

pagetop