離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「いつもお世話になっております。アリアシェリーと申します。花材でお尋ねしたいのですが、ひまわりはそちらにありませんでしょうか」
『ひまわりですか……』


百々花が花の名前を出すと、とたんに声色が変わる。


『申し訳ありません、本日の手配はできない状態です』
「まったくないでしょうか? 少しでもいいんです」
『残念ですが、一本もないんです』


耳を疑う回答だった。
そしてそれは、どこに電話をしても同じ受け答え。都内から離れた卸問屋でも変わりはなかった。

夏のこの時期に、ひまわりが一本もないなんてあり得るの……?

信じられない事態に放心状態になる。皆川と頭を抱えたくなった。


「神谷さん、どうする? ほかの花で代替できない?」
「いえ、今回のフェアはメインがひまわりなんです」


それがなければ、〝夏〟の演出は始まらない。
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