離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
ふと百々花のスマートフォンがヴヴヴと振動を伝える。画面には田原の名前が表示された。
ハッとして時計を確認すると、約束の時間を十五分過ぎている。
「田原さん、申し訳ありません」
名前を名乗る前に謝罪が口をつく。
『どうかした? なにか事故?』
「いえ……」
肝心の花が手配できていないと言ったら、田原は呆れ返るだろう。あれだけ自信をもってやり取りしていたのだから。
でも、ここで嘘をついて取り繕うのは、もっと大きな失態を呼ぶ可能性もある。
「すみません。ひまわりの入荷が遅れているんです」
『時間はかかりそうですか?』
「そうですね……。でも、間に合わせますから心配しないでください」
田原は若干不安そうにしながらも、『では、待ってますね』と言って電話を切った。
こうしていても始まらない。動かなくては。
「皆川さん、ほかにどこかあてはないでしょうか」