離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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そこは広大な土地だった。
見渡す限りの畑に咲くのは、目にも鮮やかなひまわり。百々花が今、最も求めているものだ。
事情を説明していたため、農家の夫婦が百々花の到着を待たずして、ひまわりの準備を完了させていた。
荷台いっぱいにひまわりを積み、早々に車を出す。お礼はまた改めて伺おうと考えていた。
走ってきたばかりの道を引き返す。この分だと少し早く会場入りできそうだ。
一時はどうなるかと思ったが、まだひと晩ある。明日の開場には間に合わせられるだろう。
ホッとしながらインターチェンジに差しかかったときだった。電光掲示板に事故の文字が流れる。しかも上りは全面通行止め。
うそ、通れないの!? どうしよう……!
百々花が通ってきたのは、東京湾を横断する高速道路。ここを使うのが会場まで一番近いルートなのだ。
それがダメならば、遠回りして戻るしかない。足止めされている時間はないのだから。
とにかく進まなきゃ。
百々花がインターチェンジから引き返したときだった。スマートフォンが着信を知らせて鳴り響く。
田原がまだかと心配して連絡をよこしたのかもしれない。