離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「それじゃ急ぎますので」
百々花が通話を切ろうとすると、千景が引き留めた。
『百々花、待て。そこから金谷港に向かえるか?』
金谷港? それなら引き返してすぐだと思うけど……。
先ほど青看板を見かけた。
「近くだとは思いますが……。どうしてですか?」
そちらは逆方向だ。
『今、クルーザーで向かってる』
「はい!?」
クルーザーって、あの?
マンションに飾られている写真を思い出した。
『海からのほうが時間のロスを最小限にできる』
「……迎えに来てくれるんですか?」
想像もしていない千景の行動だった。うれしすぎて胸が震える。