離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
船首がゆっくりと旋回して海側を向いたところで、クルーザーは一気に加速して走りだした。目指すは横浜にあるマリーナ。そこから会場までは車で二十分程度だという。
スピードを上げているせいか、穏やかに見える海を船体が水しぶきを上げて進んでいく。
遠くに見える陸を真っすぐとらえ、千景が華麗に舵を切る。半袖のワイシャツから伸びた腕の逞しさと精悍な横顔に、目が釘づけになった。
ドキドキしている場合じゃないのに。
大型クルーザーを操る姿を前にして、不謹慎だとわかっていても百々花は胸の高鳴りを抑えきれなかった。