離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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マリーナで千景が用意してくれていた車に荷物を載せ替え、会場に百々花たちが到着したのは午後五時を回ったころ。待ちぼうけをされていた田原やほかのスタッフに総出で迎えられ、手分けしてひまわりを搬入する。
事前に百々花が連絡を入れていた田原も、装飾に必要な備品を持って駆けつけていた。
スタッフ総出でデザイン画をもとにグリーンや小物を配置。百々花は、入口近くで会場内の装花やアプローチに飾るアレンジメントを手がけた。
当初の予定では午後七時にはすべてが完了して式場を後にするはずだったが、この分だと明け方近くまでかかるだろう。
とにかく朝までには終わらせなければ。
焦る気持ちが手もとを狂わせる。
「痛っ」
花切りばさみで指先を刺し、血が滲んだ。
もう、こんなときに……!
ポケットから取り出したハンカチで指を押さえる。不自由な手でバッグを漁り、絆創膏を探していると、千景が現れた。
「どうした。大丈夫か?」