離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「ちょっと血が……。でも絆創膏を貼れば平気です」
ゴソゴソとバッグの中に手を入れる。やっと見つけたところで、千景は百々花の前にひざまずいた。
「……千景さん?」
なにをするつもりだろうか。
「貸して」
「いえっ、自分でできます」
これ以上、彼の手を煩わせたくない。
ケガした手を引っ込めると、すかさず千景に掴まれた。
「いいからじっとして」
断固とした口調なのに、千景の手つきはとても優しい。指に巻かれたハンカチを外し、傷の状態をたしかめる。
真剣な表情で見つめられているのは指先だけなのに、百々花は全身がカチカチだ。鼓動の制御が利かない。