離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
おそるおそる尋ねると、香織の父親は『ハハハ』と豪快に笑い飛ばした。
『そんな心配は必要ありませんよ。それとこれとは話が別です』
「ありがとうございます!」
そのひと言を聞き、百々花は胸を撫で下ろした。
「では、香織さんに代わりますので少々お待ちください」
スマートフォンを香織に差し出すと、彼女は渋い表情をしながらそれを受け取り耳にあてた。
「もしもし」
拗ねたように応答すると、電話越しに凄まじい声が漏れ聞こえてきた。
『こら! 香織! 人様に迷惑をかけるとはいったいなにごとだ!』
「ごめんなさいってば!」
香織だって負けていない。さっきまでの弱々しい感じはどこへやら。声を大にして言い返す。