離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「もう絶対にしないから! 千景さんにも……奥さんにも、もう二度と近づきません!」
千景と百々花を順番に見て、はっきりと宣言した。
通話を切り、大きく息をついてから千景にスマートフォンを返す。
「……本当にごめんなさい」
香織はバツが悪そうに頭を下げたかと思えば、眉をキリリと上げ千景を見る。
「私、ぜーったいに千景さんよりいい男を見つけてやるんだから。そのときに後悔したって遅いんだからね」
最後に負け惜しみのように言い捨て、香織は玄関から飛び出していった。
途端に部屋が静かになる。千景は肩をすくめるような仕草をして、ようやく靴を脱いで上がった。
リビングでジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩める。ソファにゆったりと腰を下ろし、隣をポンと手で叩いた。百々花も座ってと言っているのだろう。
誘われるまま彼の隣に座る。