離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


手渡されたファイルをめくっていく。すると、最後のコメント欄に装花やエントランスの演出に関するものが多数書かれているのに気づいた。


【なによりもお花が素敵でした。華やかなのにナチュラルな感じが好きです】
【自分の結婚式のときにも、ここの演出を担当した人にやってもらいたい】
【エントランスを入ってから会場まで、統一された演出がとても綺麗でした】

ほかにもたくさんのコメントが書かれ、そのどれもが好意的な感想だった。

もしかしたら千景が前もって悪評を除外したのかもしれない。それを差し引いても、思った以上の反応に胸の奥が熱くなる。


「さすが百々花だな。いつものフェア以上に予約も殺到したんだ」
「いえ、みなさんのおかげです。私ひとりではできませんでしたから」


演出はもちろん、ひまわりの手配も会場までの配送も、百々花ひとりの力では決してない。


「謙遜するな。俺も、百々花が奥さんで誇らしいよ」


優しいまなざしが百々花を包み込み、うれしさに心が震えた。
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