離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

自分の気持ちを伝えるなら今。フェアが大成功を収めた今なら、堂々と想いを伝えられる。

そう考える裏では、不安な要素も抱えていた。
香織の問題が解決し父親同士の契約にも支障がないとわかり、千景が百々花との結婚に縛られる理由は消滅したのだ。千景から早々に離婚を切りだされる可能性が高くなったと言ってもいいだろう。

千景が百々花と結婚したのは、親の進める相手との縁談を壊すためだったから。
百々花が想いを打ち明けたところで、その未来に変わりはないのかもしれない。でも、ひっそりと芽生え、大きく育った想いに嘘はない。
伝えずに終わるくらいなら、しっかりと伝えてから散るほうがずっといい。


「千景さん、お話ししたいことがあるんです」


百々花は座りなおして、千景を真っすぐに見た。


「なに?」


千景が微笑みながら首を傾げる。
強い意思で臨んだくせに、土壇場で心臓が異常な速さで動きはじめる。緊張で身体が強張った。


「私、千景さんを」
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