離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
やっとそこまで言ったときだった。部屋に来客を伝えるチャイムが響き渡る。
緊迫していたのは百々花だけだろうが、その糸をプツンと切られて拍子抜けする。
こんな時間に誰だろう。まさか香織が引き返してきたのか。
不思議に思いながらインターフォンを見ると、モニターに昌也の姿が映し出された。
「えっ、昌也くん?」
思わず声に出たのが聞こえたのか、千景も立ち上がりインターフォンまでやって来た。
「百々花の弟さんだよね?」
「……はい」
夜も遅い時間にいったいどうしたのだろうか。
訝りながら応答ボタンを押す。
「昌也くん、どうしたの?」
『今夜泊めて』
思いがけない言葉に千景と顔を見合わせる。
ひとまずこのまま放っておくわけにもいかない。千景の了承をもらい、オートロックを解除して昌也を玄関で待った。