離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
百々花にしてみたら、あちらで待っていてほしいのに、彼にそんな気はないらしい。コンコンと音を立てて卵をボウルに割った。
「卵焼き? オムレツ?」
間近で百々花の顔を覗き込むから、おどおどと少し離れる。動揺しすぎだ。
「あぁえっと、オムレツかな?」
「かな?ってなに。決まってないの?」
昌也がクスクスと楽しげに笑うから余計に挙動不審になる。
「き、決まってる、よね。ごめん」
「なんで謝る? あ、もしかして昨日の俺の告白が効いてる感じ?」
まさにその通り。でも認めるわけにはいかない。姉として、毅然とした態度を示すのだ。百々花は結婚しているし、昌也はあくまでも弟なのだから。
「違うよ。そんなことない。はい、貸して」
昌也からボウルを奪い、味付けをして熱したフライパンに流し込む。