離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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支度を整えた千景を玄関まで追いかける。
「気をつけていってくださいね。みなさんにもよろしくお伝えください」
百々花も少し覗いてみたい気持ちがあるが、今日は仕事以外のべつの用事を入れていた。
百々花がブリーフケースを手渡した瞬間、千景がそのまま強く引き寄せる。バランスを崩しかけた百々花の腰に手を添え、千景は口づけた。
数秒間触れ合い、唇が離れていく。
キスはいつも寝る前だけ。初めての朝のキスに、どんな顔をしたらいいのかわからずに俯いた。
顔がものすごく熱い。
千景は「いってくる」と百々花の頬をくすぐるように撫で、玄関から出ていった。
いってらっしゃいも言えなかったな……。
熱をもった頬を両手で包みながら振り返ると、そこに昌也がいた。
もしかして見られた?
百々花がドキッとしていると、昌也が意味深な笑みを浮かべる。
「仲、いいんだ?」