離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


言いながら昌也の脇を通り過ぎようとしたところで、彼に腕を掴まれた。


「なんか俺、百々花を困らせてる?」
「困ってなんて」


本音では動揺し通しではあるけれど、それを見透かされたくない。


「……手、放してくれる?」
「やだって言ったら?」


昌也がいたずらっぽく百々花を見る。

六つも年下だとなめていたのかもしれない。完全に立場が逆転しているのは気のせいか。
焦っているのは自分ばかり。手を捻って無理に外そうとしたら、かえって引き寄せられて意図せず身体が触れ合った。


「やだな、なに言ってるの? おねえちゃんをからかわないで」


平静を装って姉弟を持ち出し、茶化して誤魔化す。


「からかってないし。昨日言っただろう? 百々花を」
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