離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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出かける準備を終えた百々花は、荷物を詰めた大きなナイロンバッグを肩にかけてマンションを出た。もちろん昌也もだ。
モバイルバッテリーを取りに戻った千景は、あの後すぐに仕事に向かい、昌也は長い時間バスルームにこもっていた。
「百々花は仕事じゃないんだろ? どこ行くんだ?」
「ちょっとね。昌也くんは、ちゃんと家に帰るのよ?」
念押ししてじゃあねと手を振ったが、昌也は後についてくる。
「俺も行く。その荷物持ってやるよ」
「あっ、ちょっと!」
伸びてきた昌也の手が百々花からバッグを奪う。するりと抜けたそれは昌也の肩にかけられた。
スタスタと先を歩いていく昌也を小走りに追いかける。
「昌也くんってば!」
バッグを返してもらおうとしても、まったく歯が立たない。