離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「本当にありがとうございます」


肩を丸めて身体を小さくした。
とにかくあり得ない事態。頭の中は大混乱だ。


「……あの、よろしかったら中でお茶でもいかがですか?」


このまま帰ってもらうには申し訳なく、百々花が遠慮がちに誘う。
アリアシェリーの店内にあるカフェコーナーで、コーヒーでもと思ったのだ。

といっても、片隅に小さな丸テーブルがふたつだけある本当にささやかなものだし、カプセル式のコーヒーメーカーで淹れるコーヒーだけれど。
お客が花を選びながら休憩もできるようにと設けたものだ。

千景は驚いたように目を丸くしてから、どうしたものかと顎に手を添える。
忙しいであろう社長の千景にそんな時間はないだろう。しかも、二十分も費やしてここまでスニーカーを届けたのだ。


「ご都合も考えずにすみません。お忙しいですよね」


余計なことを言ったと、慌てて謝る。
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