離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


昌也もやっと決心がついたか、カマを手にして百々花の近くにしゃがむ。


「てかさ、あいつの親に反対されてるのかよ」
「そうみたいね」
「そうみたいって、ずいぶんと呑気だな」


そう言われても、百々花にはどうしようもないのだ。反対されている事実しか、ここにはない。


「そんな人の家の庭なんか、放っておきゃいいだろう?」
「こんな状態を見たのに放置なんてできないよ」


ここへ来たときに初めて庭を見て、なんとも言えない気持ちになったのを思い出す。百々花自身がフローリストというのもあるだろうが、千景の母親が花を好きだったと聞いていたから尚更なのかもしれない。

もしも自分が彼女の立場だとしたら、この庭を見て、高い空の上で悲しくなるだろう。そんな想いを彼の母親にさせたくない。


「どうしてそこまでするんだよ」


呆れたように昌也が問いかける。ため息交じりだ。
百々花は手を止めて、庭のずっと遠くを見る。
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