離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
たった一度だけ身体を重ねた夜が蘇る。胸は高鳴り、異様なまでに緊張する。
あの夜はアルコールのおかげで感覚がマヒしていたが、今夜は完全にシラフだ。
千景はゆっくりとベッドに上がり、百々花を組み敷くようにした。
百々花の両手を拘束し、指先を絡める。熱を帯び艶めいた視線が百々花を射抜き、まばたきもできない。息をするのがやっとだ。
ルームウエア越しでも、自分の胸が上下しているのが見える。心臓は激しく脈打っていた。
「百々花」
今にも唇が触れ合う距離で千景が囁く。空気が振動して百々花の唇にあたり、それだけで気が遠のきそうになる。
「……愛してる」
思いがけない言葉を千景の唇が紡ぎだす。
今、愛していると言わなかったか。
驚きのあまり百々花が目を丸くすると、千景は熱っぽい目を細めてキスを落とした。
優しくこすりつけるようにしてから離れ、もう一度囁く。
「百々花が好きだ」