離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

ぶっきらぼうな様子は、二週間前に自宅に泊まりにきたときと同じだった。お前が嫌いだと全身が言っている。

同じフロアにある応接室へ昌也を通し、向かい合って座った。


「結婚したこと、どうして会社で秘密にしてるんだよ。受付で、弟はいないって言われてぞ。なんでコソコソする必要があるんだ」


やはりそうきたか。突っ込まれるのは覚悟していた。


「公表のタイミングを見計らっているところだ」
「タイミングってなんだよ。いきなり結婚したくせに、そういうのはタイミングを計るっておかしいだろ。百々花との結婚を軽く見てるとしか思えない」


鋭いところを突くものだ。たしかに彼の言うとおりではある。
だが、決して百々花を軽く見ているわけではない。百々花に演出を任せたフェア開催と重なったため、公表を控えていただけのことだ。


「軽く見てなどいない。百々花は俺の大切な妻だ」


昌也がどうあがいても手に入らないものだと、〝俺の〟という部分を強調した。