離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
ひと回りも年下を相手にして大人げないと、我ながら思う。悔しそうに唇を噛みしめる昌也を見て、優位に立った気でいる自分も情けない。
「とかいって、反対している親も放っておいてるだろうが。父親も説得できないくせに、なにを偉そうに」
昌也の言葉が胸を突く。
「……どうしてそれを?」
百々花から聞いたのだろうか。……いや、彼女はそんな余計なことは言わないはずだ。
「知らないのかよ」
いったいなにを知らないというのか。
昌也は憐みとも蔑みともとれる言い方をした。
「百々花、あんたの実家の庭を蘇らせるって通ってるんだぞ。鬼みたいに恐ろしい形相のあんたの父親に冷たくあしらわれてるってのに」
百々花が実家の荒れた庭を?
そんな話は、弘和はもちろん百々花からいっさい聞いていなかった。まさに寝耳に水だ。