離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
シックな佇まいのアリアシェリーは、一見すると格式高い店に見られがちである。一度入ってしまえばなんともないのだろうが、高校生ではなおさらそう感じるかもしれない。
「なにかお花をお探しではないですか?」
「そうなんですけど」
おろおろしながら、どうしたものかと店を見たり歩道を見たり。
「見るだけでもどうぞ」
「……見るだけでもいいんですか?」
「もちろんどうぞ」
百々花は手を前にかざして女の子を中に通し、その後から千景を招き入れる。
「うわぁ、すごーい!」
一歩足を踏み入れた途端、彼女の口から感嘆の言葉が漏れる。
キーパーを置かず、自然と同じ環境に置かれた夏の花たちが所狭しと並んだ店内は、そこで働く百々花でも心が弾むような光景だ。
店には、ほかにふたりの女性客がいて、べつのスタッフが応対していた。