離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

弘和の説得は心配いらないと言ってあったため、認めてもらおうと必死になっているとはこれっぽっちも考えなかった。


「そうやって百々花は一生懸命なのに、どうしてあんたはそんなに呑気に構えてるんだよ」


それが事実なら、なにも知らない自分は相当な間抜けだ。
昌也に反論もできない。


「だから俺は認めない。百々花はあんたに任せられない。早く別れてくれ」


昌也のこの真っすぐさは、やはり脅威だ。結婚していようがお構いなしにぐいぐいくる。


「庭のことは知らなかったが、俺も親の説得をしていないわけじゃない」


時間を作ってもらえるよう再三にわたってお願いするのはもちろん、香織とは決着が着いており、久松財閥との顧問契約も心配する必要はないと伝えている。弘和がなによりも不安視していたのは、そこなのだ。

おそらく、一度反対したため引っ込みがつかなくなっているのだろう。百々花にきつくあたった引け目も感じているかもしれない。
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