離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
友好的な笑みの裏には、決して譲れないという固い意志がある。
昌也もそれを嗅ぎ取ったか、瞳がわずかに揺らいだ。
「俺に勝ったら……。そうしたら信じてやってもいい」
「勝ったら、とは?」
「俺とスカッシュで勝負しろ。あんたも経験があるだろう? この前マンションに行ったときに写真があるのを見たよ」
そういえばそうだった。昌也はスカッシュでインカレに出場したと、百々花が言っていたのを思い出す。
千景も昌也同様にインカレ経験はあるが、もう十年も昔の話。スカッシュ自体もスポーツクラブで軽いラリーをする程度で、ゲームは皆無だ。
「やるのか? やらないのか? 自信がなければやめたほうがいいぞ」
昌也が挑発しながら急かし、千景の闘争心に火をつける。
その挑戦に乗らないわけにはいかない。
千景の目つきがガラッと鋭いものに変わった。もともと勝負事には燃えるタイプなのだ。シュプリームウエディングも、そうして確固たる位置を築き上げてきた。
「受けて立つよ」
千景が答えると、昌也はニヤッという笑みを浮かべた。