離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

ゲームがいくらご無沙汰とはいえ、これでもインカレで優勝しているのだ。経験の長さでも優位に立っている。
こんなところで負けを見たくはない。

九十秒後のブレイクの後、千景のサーブで二ゲーム目がスタート。

大学時代のイメージを頭に浮かべ、動きを再現する。

フォア側は自分に有利だが、鋭いボールが返ってくる可能性が高い。ひとまずバック側で返していき、チャンスを狙うのだ。
だがその考えは昌也も同様のため、レフトサイド側でのラリーがひたすら続いていく。ときに高速で、ときに低速で。緩急をつけたショットを互いに打ち、相手の出方を待つ。

昌也の好きなように走らされていた千景も次第に勘を取り戻しはじめ、思うようにコントロールができるようになってきた。

あの頃のようにもっと軽く、もっと自由に。

身体に刻み込まれていたリズムが蘇り、千景の動きが精彩を見せ始めた。

スコアは九対九のイーブン。

よし、もう少しだ。第二ゲームは絶対に落とさないぞ。

ところが、そう簡単に現役選手は打ち負かせないらしい。千景の気合と裏腹に昌也がさらに鋭いショットを打ち始め、二ゲーム目も失ってしまった。
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