離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「これで、昌也くんにも認められた」
一貫して『認めない』と首を縦に振らなかった、あの昌也を説得させるのだから……。千景はすごいと思わされてしまう。
昌也に認められなくてもいいと思えなかったのは、血のつながりがないとはいえ彼が大切な弟だから。一人っ子の百々花にできた、大事な弟なのだ。
千景もきっと、百々花のそんな気持ちをわかってくれていたに違いない。だからこそ、怪我を負ってまで勝負に挑んでくれたのだろうから。
「ありがとうございます」
あとは千景の父、弘和だ。
家政婦に聞いたところによると、弘和は庭に面した縁側の障子を閉めきりにしたまま、生まれ変わろうとしている庭をいっさい見ようとしないらしい。
玄関に出入りするときですら、顔を背けているという。完全に拒絶されているのだ。
千景の母親が大切にしていた庭を蘇らせるのが一番の目的とはいえ、そうされるとさすがにつらい。義理とはいえ、弘和も百々花の父親になったのだから。