離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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三日後、百々花は千景の実家の庭にいた。
「百々花、これはどこー?」
真っ赤なサンブリテニアの鉢植えを持ち上げた愛華が、百々花を呼ぶ。
今日は、彼女も手伝いに来てくれていた。
今をときめくブライダル会社のトップがどんなところで育ったのか、愛華の好奇心をくすぐったらしい。さらに、反対している父親に認めてもらうべく庭を手入れする嫁という、ストーリー性のある展開にも興味津々だ。
さすが出版社勤めと言うべきか。とにかくドラマティックな匂いのするものには弱いらしい。
歩くのも困難なほど膝を痛めた千景だったが、驚異のスピードで回復し、すっかり元通りだ。
「それはこっちにお願い」
百々花のそばの花壇を指差した。テラコッタで囲った幅四メートルほどの花壇には、今の時期にぴったりの花を植えようと考えている。
鮮やかなピンクのポーチュラカに、ラベンダーに似た青紫のブルーサルビア。夏らしく華やかなものが多い。
花壇に足を踏み入れ、愛華と並んでしゃがみ込む。スコップで土を掘り、そこにそれらを植えていく。